普通

普通の食生活をしているといってもよくよく話を伺うと、

我々歯科医師からすると思いがけない食生活だったりすることがあります。

普通に歯みがきしているといっても

客観的にみて普通に磨けていないことも多いです。

それぞれが同じような似たような日常生活を過ごしているのですが

それぞれの生活習慣は異なるのです。

普通といってもそこには多種多様な生活習慣があるのです。

酷使

ずいぶん前にも似たようなこと投稿しましたが

100キロという長い距離を走るとなるとかなりのカロリーを消費するため、

給水所では水分だけではなく食料も食べることが必要です。

およそ5キロごとに何か食べたり飲んだりするため

胃腸も酷使され、当然口の中も酷使されます。

自分の経験の中では後半60キロも過ぎたあたりからだったでしょうか、

歯の口蓋側(歯の内側のことです)が妙にしみるようになったのです。

これは完走するまでの10数時間の間に頻繁にスポーツドリンクを飲み、

塩分、糖分を含んだ飴をなめたり、

その他の食事をとり続けるために短期的に起こる酸蝕、知覚過敏でしょう。

完走後も数日しみるのですが、その後日常の食生活に戻るとしみなくなります。

何をどのように、どのような頻度で飲食するかで変わってくるということです。

正しく 定期的に

統計にもあるように、小学生~中高生のむし歯が減っていることを実感する日々です。

ですが一方では、20代の方ではむし歯ができはじめ、

中高年では治療した箇所が再びむし歯になっているケースが多く、

口の中の環境によっては、数か月でむし歯の再発を繰り返しています。

その場合、お口の中の衛生状態が良好ではないことがほとんどで

さらに年齢を重ね、食生活、生活習慣の影響、唾液の分泌量の減少などの影響から

より急激に変化するように感じます。

早い段階で正しい歯みがきを身につけ、口腔ケアに取り組み

定期的に歯科で歯科医師、歯科衛生士による口腔ケアを受けておくことが大切です。

役目

12歳児を対象とした永久歯の一人当たりの平均のむし歯数(喪失歯及び処置歯数含む)

ですが、2021年には0.63本と過去最低となっています。

つまり、12歳児において

現在むし歯、過去にむし歯で失った歯、治療した歯が一本に満たないということです。

むし歯はかなり減少し、現代社会においてむし歯があるお子さんはほとんどいません。

喜ばしいことですね。

ですが、全体的に多くのお子さんがむし歯がない一方で、

一人で複数本のむし歯を抱えているお子さんがおられます。

どのようにして減らしていくかが歯科界の役目ですね。

子供であっても糸ようじ

乳歯列では歯と歯の間に隙間があるものなのですが

乳歯列であっても隙間がなく、

歯と歯が前後に重なっている歯並びのお子さんが多くなりました。

お口の清掃状態の問題もあり

食べ物が詰まったままになっているお子さんもみられます。

保護者が食後に仕上げ磨きを行うことが大切で、

その際糸ようじを使用したほうがよいです。

幼少期から口腔内衛生状態を良好にしておくことが大切です。

幼い時のお口の中の環境が今後を左右します。

基本

むし歯・歯周病予防の基本は歯磨きになります。

歯磨きのポイントは

①歯と歯茎の境界線に対し、45度の角度で小刻みに動かす。

②歯ブラシでの歯磨きに加え、フロス(糸ようじ)・歯間ブラシを使用する。

一人ひとり、お口の状態が異なるので歯科医院で指導を受けて

ご自身のお口の中の特徴を知っておくと安心です。

時間差

むし歯はもとには戻ることのない

不可逆性のものであるため

「今」はむし歯がなくて大丈夫であっても

お口の中の衛生状態を良好に保ち続けることが重要です。

お口の中が不衛生であった場合、その状態が反映され、

数か月後、数年後と時間差で歯に現れるからです。

歯を正しく適切に磨き続けましょう。

機器の進化

歯科治療において歯を補うための、患者さんが言うところの「かぶせもの」ですが

デジタル化も進み、光学印象なんてものあって

型を採らずにスキャンして読み込み、即日作製なんてできる時代にもなっていますが

すべての医院でそれらを導入できるわけでもありません。

なお、当歯科医院では導入していません。

通法どおり前歯なり奥歯なりを型を採って、石膏を流し模型を起こし、

技工所に依頼し作成してもらい、納品という流れですから最低1週間はかかります。

それに加え、次の診療予約をとれる曜日・時間帯などの問題などもあり、

必ず1週間後に入るのかというと、そう希望通りにいくとは限りません。

機器は進化しましたが、人が進化していないというかなんというか。

歯を抜かない

歯科医師は歯をなるべく残そうと考えます。

歯を抜きたくはないのです。

一つの歯があるかないかで、違ってくることが多々あり、

失っていくことが重なると食生活も当然ですが、健康に差が出てくるからです。

ですが、治療をすれば今後も活かせる歯を

早く抜いて早く終わらせて欲しいと考える患者さんもおられます。

健康を守る上で重要ですので、

歯科医師としては、なるべく歯を抜かないでおきたいのです。

⇒ 歯を抜く