時間差

日々のお口の中の衛生状態に問題があっても

歯周炎やむし歯という形であらわれるまで、

数か月後、数年後、数十年後と時間がかかります。

「あとで症状が起こるなら今はいいや」

と思うかもしれませんが、

良好ではない衛生状態が続いていると

歯肉の腫れが強まったり歯の周囲の骨に影響してきたり歯に穴が開いてきたり

思っている以上に多数の歯を失うことにつながり

それらの症状があらわれてからでは

お口の中の健康は取り戻しにくくなります。

今、衛生状態を良好にし、続けることが重要なのです。

例えば こういう歯並び・咬み合わせ

前歯の前後的に挟むような咬み合わせ。

磨くのが難しいためむし歯にもなりやすく、歯肉炎にもなりやすいのですが

こういった咬み合わせは年齢を重ねていくと

咬む力により押し広げられるような力が働きます。

若いときは症状としてあらわれにくいですが

咬む力の影響により、不定期にしみたり痛くなったり

年齢を重ねると徐々に歯が傾いてきたり、

ある時急に折れたりといった変化がでるリスクがあり、

結果歯を抜くことにつながります。

健康で長く維持されるためには歯並び・咬み合わせが大切なのです。

必ずではない

親知らずは必ず抜かなければならないか?というと

必ずではありません。

親知らずが横向きに萌えており、むし歯になっていたり

さらに手前の歯にも悪影響を及ぼしている場合などは抜いたほうがよいです。

萌(は)え方やお口の中の衛生状態など個々の状況によって異なり、

衛生状態や咬み合わせの条件が整っていれば抜歯の必要はなく

80歳を超えてもきれいなまま維持されていることもよくあります。

萌えてくる時

下の顎で6歳前後に萌(は)えてくる第一大臼歯、

12歳前後に萌えてくる第二大臼歯。

これらは萌えてくる時に、痛みや腫れを引き起こすことがあります。

多くは萌えてくる時に起きる生理的な範囲の痛みです。

ただ、お口の中の衛生状態によっては

食事が困難なほどの痛みや腫れになることもあります。

「親知らずが萌えてきた」と勘違いされる保護者の方もおられますが、

多くは親知らずは20歳以降といったところでしょうか。

早い方で18歳くらいで親知らずが出てきている方も時々おられますね。

STOP 歯肉炎!

歯肉炎があるとなぜよくないのか?

それは成人以降に歯周病に移行する恐れがあるからです。

早い段階で改善に努めておくことが有効です。

防ぐためには

歯冠破折や歯根破折をなるべく防ぐためには

神経をとるようなむし歯にならないこと。

なので、まずはむし歯にならないこと、治療を中断しないことが肝心です。

そして負荷がかかりやすいような歯並び・咬み合わせではないこと。

これには個体差がありますが、歯並び・咬み合わせが良い方が有利です。

矯正治療という選択肢もあります。

学童期のちょっとした歯並び・咬み合わせの不正が

年齢を重ねると大きな問題になります。

「今、困っていないから」「なんでもないから」と気にされない方が多いですが

タイミングも様々ですが、問題が大きくなる前に改善していた方が有利です。

とにかく口腔内をきれいにしておくこと。

歯並び・咬み合わせがよいこと。

これが重要なことです。

耐えて

ここも相当な量の雪が積み重なっていたかと思われます。

それでこの柵も歪んでいるのでしょう。

歯も相当な力がかかっており、

人生という年月を過ごしていく中で

たわみ、すり減り、ヒビが入り、それでも耐えて、

耐えれなくなると割れます。

歯にも毎日相当な負荷がかかっているのですよ。

しみる原因 

「歯がしみる」は正常な反応の範囲でもあります。

ですので、しみることがあっても、むし歯ではないこともあります。

むし歯以外で他に歯がしみる原因としては

咬み合わせの力によるものがありますね。

咬む力で歯の神経の炎症、歯髄炎が起きてしみることがあります。

また咬む力の影響で歯にひびが入ってしみる症状がでることがあります。

皆さんが思っている以上に咬む力は歯に影響を及ぼしているのです。

シンプル

口腔内の衛生管理が行き届いていないと誤嚥性肺炎の発症リスクがあがったり

歯周病が認知症の誘発と症状悪化に関連していたり

歯周病があると糖尿病のリスクが2倍、脳梗塞が1.6倍

狭心症・心筋梗塞が2倍であるなどなど関連はありますが

つまり口腔内衛生状態が良好ではないような生活習慣であると

他の生活習慣病や関連する病気のリスクもあるということですね。

歯科に関連する啓発内容は様々ありますが、すごく簡単に言うと

口腔内を良好に保っていた方が健康に過ごすために有利です。

口腔内、歯を大切にしていた方がよいです。

生活習慣を整え、正しく適切に歯を磨いておくことが大切なのです。

深い

下の前歯が見えないような深い咬み合わせ、

下の前歯が上の歯の歯茎近くにあたるような咬み合わせを過蓋咬合といいます。

下のような感じです。

正常咬合と比較するとこのような違い。

左が過蓋咬合 右が理想的な咬合

このような咬み合わせの場合、年齢を重ねることで咬む力の影響を受け続け、

前へ倒れ込む変化がおきる傾向にあります。

また、むし歯や歯周病により奥歯を多数失ってしまうと

前歯への負担が増え、耐えれずに揺れが大きくなったり、

歯が折れたりし、抜歯せざるを得ない例がよくみられます。

正面からみると、前歯が開きすき間もでてくるようになります。

過蓋咬合は見た目は歯並びがいいように見えることがありますが

実は上と下の歯の前後のズレを抱えているため、

そういったことが起きる傾向にあります。

歯並び・咬み合わせの治療をしておくことが有効です。